弁護士による税務紛争対応(再調査の請求・審査請求・税務訴訟,税務調査)
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本間合同法律事務所
弁護士・税理士 坂 田 真 吾
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以前、 「相続税申告における代償財産の額の調整計算」というコラムを掲載しました(h27/12/4。なお、拙稿「相続税申告の落とし穴ー代償分割と調整計算」(税務弘報 平成28年7月号))。
これを見て下った実務家の方から下のような事例(土地だけでなく預金がある事例)での代償財産の額の調整計算方法についてのご相談を受けましたので、私の考えを記載します。
(追記:本事例を元にした審査請求において、納税者の主張が認められました。その内容は、拙稿「代償分割における調整計算の一事例 小規模宅地特例が関係する令和3年12月13日裁決も踏まえて」(税務弘報 2022年8月号)にまとめたので、ご興味があればご参照ください)。
①不動産 | ①の代償金 | ②預金 | ②の代償金 | 合計 | |
甲 | 1億円 | ー5000万円 | 0円 | +2500万円 | 7500万円 |
乙 | 0円 | +5000万円 | 5000万円 | -2500万円 | 7500万円 |
すなわち、2500万円は、個別代償金の合計として算出されたものです。
(2500万円=①の代償金(5000万円)+②の代償金(-2500万円))
この場合、代償金の調整計算は、次のように、代償分割の対象となった、
①不動産、②預金、ごとになされなければなりません。
・①不動産に係る代償金
5000万円×8000万円/1億円=4000万円
・②預金に係る代償金
2500万円×5000万円/5000万円=2500万円
したがって、相続税の課税価格は次のようになります。
①不動産 | ①の調整後代償金 | ②預金 | ②の調整後代償金 | 合計 | |
甲 | 8000万円 | ー4000万円 | 0円 | +2500万円 | 6500万円 |
乙 | 0円 | +4000万円 | 5000万円 | -2500万円 | 6500万円 |
すなわち、調整前の代償金の合計額は2500万円であったのに対し、調整後の代償金の合計額は1500万円(4000万円-2500万円)として計算しなければなりません。
そうすると、相続税の課税価格は、
・相続人甲:8000万円-1500万円=6500万円
・相続人乙:5000万円+1500万円=6500万円
というように、甲、乙で平等となります。
以上のように、代償分割の調整計算においては、財産ごとに調整計算規定の計算式を適用しないと正しい計算となりませんので、留意が必要です。