弁護士による税務紛争対応(再調査の請求・審査請求・税務訴訟,税務調査)
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本間合同法律事務所
弁護士・税理士 坂 田 真 吾
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前回につづいて,マンション等の管理組合の税務のうち,消費税についての考え方をまとめました。
法人税に比べて,消費税の取扱いは難解で,やや常識に反するきらいがあると考えられます。
(追記:税務弘報平成30年12月号に,「区分所有建物における管理費の消費税法上の取扱いー仕入税額控除は認められないのか?」という論稿を掲載しました)
(追記:その後、最高裁まで争いましたが、納税者敗訴で確定してしまいました。それを踏まえた対応方法等については、本ページの末尾をご参照ください)
以上のように,法人税と異なり,消費税の取扱はあまりしっくりこず,税務調査でも,通常は,裁決や判決のような理論では課税されていないと思われます。
税負担の累積を生じることは,今後の消費税率の上昇も考えれば,好ましいことではないので,通達等で妥当な取扱を設定するべきであると考えます。
本コラム掲載後、この論点が問題となる税務訴訟を担当しておられる弁護士より依頼を受けて、意見書を作成し、裁判所に提出しました。
内容(固有名詞等は省いています)は次をご参照下さい。
私見は以上のとおりですが、結果として、納税者敗訴判決に終わってしまいました(令和2年、最高裁で上告不受理等)。非常に残念です。
不合理な結論であることに変わりはないので、他の工夫として、管理組合を通さずに、外部の業者と直接契約をして支払う、という対応方法はあり得ると思います。
全ての契約でそれをするのは煩瑣でしょうから、たとえば、(1)建物の相当割合を保有する区分所有者がいる場合(再開発によって区分所有建物が建築された場合などにままあります)に、(2)共用部分の管理費用のうち、かなり高額なものについてのみ、直接契約をする、ということで損害を軽減する方法です。区分所有者が外部の業者と直接契約をすれば課税仕入れとなると思います。なお、管理組合の法人税負担との兼ね合いなどはケースバイケースで要検討と思われます。