弁護士による税務紛争対応(再調査の請求・審査請求・税務訴訟,税務調査)
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本間合同法律事務所
弁護士・税理士 坂 田 真 吾
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前回は、租税法規を、納税者に有利に(のみ)柔軟に解釈することが許されるかという問題提起をしました。
刑事法的な発想をすれば、国家VS私人という権限等に大きな差がある対立構造の中で、実質的な公平を保つために、裁判所が私人に配慮した取扱をするということは違和感はないのですが、その他、私なりに、いくつかの根拠を提示してみたいと思います。
そこであらためて考えると、最高裁の判決には、実は、納税者救済に向けて柔軟な法解釈をしたと見ることができる判決も複数存在します。
法律学にとって、形式と実質のバランスをとることは永遠のテーマと言えます。
今回のコラムとの関係で言えば、たとえば、国税不服審判所令和2年4月16日裁決(非公表)は、内縁の配偶者は、相続税法21条の3第1項第2号に規定する扶養義務者に該当せず、贈与税の非課税規定が適用されないとしています(税のしるべ 令和3年5月24日号)。
この形式的判断を前提にすると、内縁の夫婦間の生活費の授受については、(110万円の基礎控除を超える部分については)すべからく贈与税課税が可能となる、ということになりますが、果たしてそのような考えが妥当でしょうか。
日常の諸々のご相談の中で、これはおかしいと思える事案に遭遇すると、法律家のはしくれとして、なんとか妥当な解決を、というファイトがわいてきます。租税法規は、実はたくさんの未発見、未解決の論点があるので、それを発掘し学説と実務を架橋するような仕事をしていきたいと思います。