弁護士による税務紛争対応(再調査の請求・審査請求・税務訴訟,税務調査)
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本間合同法律事務所
弁護士・税理士 坂 田 真 吾
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今回から,実際に信託をどのように活用するのか,具体的な事例で見ていきます。
という事例で考えてみます。
この事例1について,民法等を使った解決として次のようなことが考えられますが,問題も残ります。
そこで,次のように信託を使ってはどうでしょうか。
以上の信託を簡単に信託契約書にすると,次のようになります。
(信託契約書)
委託者Sは,受託者Tに対し,第1条記載の信託の目的達成のため,第2条記載の財産を信託財産として管理処分することを信託し,受託者Tはこれを引き受けた。
第1条 信託の目的
本契約は,後記信託財産の管理活用,その他本信託目的の達成のために必 要な行為を行い,受益者の幸福な生活の支援と福祉を確保し,かつ同財産を適正に管理して資産の円満な承継を図ることを目的とする。
第2条 信託財産
1 本契約に定める信託財産は,後記信託財産目録(略)記載の信託預金債権(信託金融資産の利息配当があった金銭をも含む。),***(その他信託財産)とし,次項のとおり管理活用しまたは処分するものとする。
2 信託財産の管理運用(活用)及び処分は,次のとおりとする。
(1)信託預金債権については,信託財産にかかる公租公課,その他の経費等の支弁に充てるとともに,受益者の生活費,施設利用費等の支払いに充てるものとする。
(2)(その他信託財産)
第3条 受託者
本件信託の受託者は,Tとする。
第4条 受益者
1 本件信託の当初受益者は,Sとする。
2 本件信託の当初受益者の死亡した後の第二次受益者は,Bとする。
第5条 信託期間
本件信託は,本契約締結の日から効力が発生し,次の事由によって終了する。
(1)当初受益者S及び第二次受益者Bの両名とも死亡したとき
(2)信託財産が消滅したとき
第6条 残余財産の帰属
残余の信託財産については,次の権利帰属者に次の内容で給付する。
(1)(帰属権利者) T
(給付の内容)残余の財産の2分の1
(2)(帰属権利者)C
(給付の内容)残余の財産の2分の1
以上のように,信託を用いると,民法では十分な解決ができないニーズに柔軟に答えることができるということが分かると思います。