弁護士による税務紛争対応(再調査の請求・審査請求・税務訴訟,税務調査)
 

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本間合同法律事務所
弁護士・税理士 坂 田 真 吾

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税理士向け研修講師を担当しました(民法改正,最近の経営者保証の実務)
(h27/6/19更新)

  1.  昨日,税理士の先生方を対象とする研修の講師を担当させていただきました。

     テーマは,(1)民法改正,(2)最近の経営者保証の実務とし,税理士が顧問先に対応する場合の勘所をお話ししました。
     
  2.  民法改正については,本年3月31日に法律案が通常国会に提出されています。施行は,交付の日から3年内とされているので,おそらく2018年頃には改正後の民法が適用されるものと思われます。

     改正項目は多岐にわたりますが,税理士の先生方がおさえておくべきポイントは,大きく次のことだと考えます。

    ・消滅時効が原則的に10年から5年になるので,顧問先の債権管理に注意すること

    ・短期消滅時効(民法170条以下)の規定が削除され,売掛代金債権の消滅時効が現行の2年から5年になること


    ・法定利率が,現在の年間5%から3%とされ,3年ごとに,経済状況にあわせて1%単位で変更されること。

    ・保証について,個人根保証契約(根保証契約で,保証人が法人でないもの)の規定が新設され,極度額を定めない場合には個人根保証契約は無効になること,不動産賃貸借の保証人も個人根保証契約に該当することから,不動産賃貸業を営む顧問先では契約書の書式の変更をする必要があること

     
  3.  経営者保証については,金融庁が平成25年12月に公表した経営者保証ガイドラインのご紹介をしました。次の点を押さえて実務に活かせば,税理士の顧問先に対する適切な助言になるものと思われます。

    ・経営者なら保証は当たり前であるという考え方が変化していること

    ・法人と経営者との関係の明確な区分・分離を図り,かつ情報提供や弁済の継続など金融機関に対して誠実な対応をとっていれば,融資申込時の経営者保証はされないという取扱があること

    既存の保証契約も,解除等することが可能な場合があること

    公表されている参考事例集を見ると,特に,経営者の高齢化や,交替など,保証債務を外したいという合理的なストーリーがある場合には,金融機関としても前向きに検討する傾向がうかがえること

    ・現在の会社の状況では保証債務を外すことは難しくても,顧問税理士が会社に協力してガイドラインの条件を満たすような努力を継続するべき場面もあると考えられること,その場合には,ガイドラインやQA,参考事例集などで金融機関が重視する点を確認するべきであること

     
  4.  民法改正も経営者保証ガイドラインも,内容が多岐にわたりますが,税理士業務としては勘所をおさえて対応すればよいのだと思います。