これを本件についてみるに,州LPS法は,同法に基づいて設立されるリミテッド・パートナーシップがその設立により「separate legal entity」となるものと定めているところ(201条(b)項),デラウェア州法を含む米国の法令において「legal entity」が日本法上の法人に相当する法的地位を指すものであるか否かは明確でなく,また,「separate legal entity」であるとされる組織体が日本法上の法人に相当する法的地位を有すると評価することができるか否かについても明確ではないといわざるを得ない。そして,デラウェア州一般会社法( General Corporation Law of the State of Delaware ) に お け る 株 式 会 社(corporation)については,「a body corporate」という文言が用いられ(同法106条),「separate legal entity」との文言は用いられていないことなども併せ考慮すると,上記のとおり州LPS法において同法に基づいて設立されるリミテッド・パートナーシップが「separate legal entity」となるものと定められていることをもって,本件各LPSに日本法上の法人に相当する法的地位が付与されているか否かを疑義のない程度に明白であるとすることは困難であり,州LPS法や関連法令の他の規定の文言等を参照しても本件各LPSがデラウェア州法において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白であるとはいい難い。
そこで,本件各LPSが法人該当性の実質的根拠となる権利義務の帰属主体とされているか否かについて検討するに,州LPS法は,リミテッド・パートナーシップにつき,営利目的か否かを問わず,一定の例外を除き,いかなる合法的な事業,目的又は活動をも実施することができる旨を定めるとともに(106条(a)項),同法若しくはその他の法律又は当該リミテッド・パートナーシップのパートナーシップ契約により付与された全ての権限及び特権並びにこれらに付随するあらゆる権限を保有し,それを行使することができる旨を定めている(同条(b)項)。このような州LPS法の定めに照らせば,同法は,リミテッド・パートナーシップにその名義で法律行為をする権利又は権限を付与するとともに,リミテッド・パートナーシップ名義でされた法律行為の効果がリミテッド・パートナーシップ自身に帰属することを前提とするものと解され,このことは,同法において,パートナーシップ持分(partnership interest)がそれ自体として人的財産(personalproperty)と称される財産権の一類型であるとされ,かつ,構成員であるパートナーが特定のリミテッド・パートナーシップ財産(以下「LPS財産」という。)について持分を有しない(A partner has no interest in specific limitedpartnership property.)とされていること(701条)とも整合するものと解される。なお,本件各LPS契約において,本件各LPSが本件各建物及びその敷地の購入,取得,開発,保有,賃貸,管理,売却その他の処分の目的のみのために設立され,当該目的を実施するために必要又は有益な範囲で上記の処分の権限を有すると定められていること(1.3条)は,上記のような州LPS法の規律に沿うものということができ,構成員である各パートナーが本件各LPSのLPS財産につき各自の出資割合に相当する不可分の持分を有すると定められていること(4.5条)についても,LPS財産の全体に係る抽象的な権利を有する旨をいうものにとどまり,本件各LPSのLPS財産を構成する個々の物や権利について具体的な持分を有する旨を定めたものとは解されず,パートナーが特定のLPS財産について持分を有しないとする州LPS法の上記規定の定めとそごするものではないということができる。