5月20日に発刊された日税研論集88号(「税務行政訴訟における審理と課題」)では、租税法研究者の先生方が税務行政訴訟のテーマを論じられていますが、私も、「国税不服審査」という章を担当させていただきました。
国税不服審判所は、平成18年に、『国税不服審判所の現状と展望』(判例タイムズ社)という書籍を公表しています。当該書籍は、その当時の国税不服審判所の概要、特色、各支部における事件処理や裁決例の動向等を記述したものですが、はしがきには、「国税不服審判所の事務運営については、いまだに国民に十分に認識されているとは言い難い面もある。」「このような問題意識の下、国税不服審判所としては、広報活動の一環として、本書を編集することとした。」とあります。
平成18年から20年が経過した現在までの間に、平成26年の国税通則法改正(異議申立ての廃止による再調査の請求制度の創設、不服申立期間の延長(2ヶ月から3ヶ月へ)、審査請求における審理手続の計画的進行、口頭意見陳述の整備、審査請求人による証拠の閲覧対象の拡大等)や、平成19年から開始された民間専門家(税理士、公認会計士、弁護士等)の国税審判官(特定任期付職員)としての採用、といった大きな変化がありました。
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このような変化はあったところですが、やはり、今なお、実際に審判所の内部で審判官が何をどのように考えて執務を担当しているのかということは外部からは分かりにくいといわざるを得ないと思います。
そこで、拙稿では、もと国税審判官(特定任期付職員)である税理士、公認会計士、弁護士の方々に協力をお願いし、審判所の実務についてアンケートの回答をいただきました(合計約30名)。そして、その回答を踏まえて、審判所の実務を浮かび上がらせることを試みました。
アンケート項目は、たとえば、
「議決、裁決にあたり、通達は重視しましたか。」、
「審判所には、請求人が主張していない主張や証拠を積極的に発掘する後見的な役割が期待されていると考えますか。」、
「原処分を取り消したことはありますか、また、取消しとなりやすい(と考えられる)事案の類型があれば教えてください。」、
「取消し裁決に対して原処分庁側が訴訟提起できないことが、審判所が出す結論に影響を与えていると考えますか。」、
「よいと思った請求人代理人の活動、そう思わなかった請求人代理人の活動があればご教示ください。」、
「審判所の長所や改善すべきと思う点があれば、ご教示ください。」
といった項目を設けております。
以上のように、あまり知られていない国税審判官の業務実態や、事案に当たって考えること等を紹介、分析する内容となっております。ご興味があればご一読いただければ幸いです。
(なお、公益財団法人日本税務研究センターの賛助会員の方は、会員ページにて PDF を閲覧・ダウンロードすることができます)